ロボアドTHEO(14) THEOのフルモデルチェンジとFAQの怪しい記述

おはこんばんにちは。きゅうべいです。

昨日2017年8月7日、お金のデザイン社がTHEOのフルモデルチェンジを発表しました。

THEO [テオ]、フルモデルチェンジ
https://www.money-design.com/news/2017-08-07

ツッコミどころ満載のリリースなのですが、要点をまとめると、、、
・最低投資額を1万円にします
・ロボアドバイザーだけどアドバイス無しモードを標準にします

2番目が斬新で良いと思います^^;
個人的にTHEOについてはアクティブだとわかった段階で興味9割減でどうでもよくなってるんですが(笑)、なんかこう「本当にこの会社は顧客利益を考えてるのかな?」と思うことが多々あり、アレな感じしかしません。俗な言い方をしますと「意識高い系マーケティング」ってやつですね。

そもそも1万円でETF分散は無理ゲーすぎる

以前検証したように、THEOのアルゴリズムでは投資額が10万円程度だと当初目標設定からかなり乖離します。それにもましてリニューアル後は1万円からだなんて狂気の沙汰です。まずは何故そんなことが起きて、そしてどういう不都合があるかを見ていきましょう。

ETFは投資信託と違い1円単位で投資する事ができません。ETFは上場投信であり市場の買い付けは株式と同様に「1口いくら」の口数単位で購入します。ですから、例えば「10万円のうち60%を米国株に投資しよう」と思っても、そもそも6万円ぴったりで買えるETFなんて無いわけです。例えばVTIであれば2017年8月7日の終値で127.16ドル=約14,080円です。そうすると、4口で56,320円、5口で70,400円です。つまり、投資元本が10万円だったら、56.3%か70.4%で投資するしか無いんです。「60%で運用するのが最適です。」とせっかくロボアドバイザーが分析してくれても、上記の例だとそもそも60%で運用することができません。当然アセットアロケーション(=各資産への分配割合)が変わるとリスクとリターンも変わります。これではアドバイスの意味がありません。

これを防ぐためには、「1口あたりの金額」がなるべく小さいETFを買うしかありません。例えばアメリカ株のETFだと、VOT(118.97ドル/1口)、VOE(同104.83ドル)、VTV(98.50ドル)なんかもあります。しかし当然ですがこれらはすべてETFを構成する銘柄が違います。VOTなら中型グロース、VOEなら中型、VTVならバリューといった具合です。そうすると、今度は金額の配分だけじゃなく銘柄の偏りまで出てきてしまいます。

THEOの営業資料にもちゃんと書いてありますが、分散投資の基本は「どれが上がるかわからないから市場全体をミニチュアにして丸ごと投資しよう」というものです。しかし「1口あたりの金額」が小さいものにこだわると、肝心の銘柄分散が歪んでしまいます。

では、さらにこれを防止するにはどうしたらいいでしょうか?

答えは簡単で、投資元本を十分に増やせばいいんです。例えばVTIは1口あたり約14,080円ですから、単純にこの100倍の140万8,000円以上の元本があれば最大誤差は1%以下になります。これが用意できないのであればそもそもETFを使った投資自体に無理がありますので、多少信託報酬はあがったとしてもインデックス投信を使うべきです。

さて以上を考えていただければ、THEOのリニューアルによる「最低投資金額1万円」というのが以下に無茶苦茶かが分かっていただけると思います。世界中のマーケットには1万銘柄近いETFがありますので、もしかしたら1口100円ぐらいで分散完璧な超どマイナーETFがあるかもしれません。THEOのプロとしての選球眼が問われる大事な部分なので、是非お手並みを拝見したいと思います。

THEOのFAQ大丈夫か???

上記のリニューアルの件で久々にTHEOのwebページを見たら凄い記述を見つけてしまいました。

引用元:https://theo.blue/faq


Q: 運用にかかる税金について教えてください。

A: THEOで運用を行う際の税金の取扱いはお客様が自身で行った売買と全く同じ税務上の取扱いとなり、売買損益・配当益等は原則として税務申告していただくことになります。なお、お客様が申込手続時に選択された口座タイプにより取扱いが異なります。


Q:税務申告は必要ですか?

A:特定口座をお申込になり、かつ源泉徴収ありを選択された方は、確定申告の必要はございません。他方、特定口座申込かつ源泉徴収なしを選択された方は、取引明細や売買損益が記載された「特定口座年間取引報告書」を当社にて作成・交付(電子交付)しますので、そちらをもとに税務署に申告・納税をして頂く必要がございます。

どっちだよ(笑)。上の質問では「(投資一任契約してるだけだから)税金は普通の証券取引と一緒でちゃんと払ってね」といっており、下の質問では「特定口座で源泉徴収ありなら確定申告は不要だよ」と言ってます。

以前エントリーで書いたように、日本株や国内ETFを触っているだけなら特定口座・源泉徴収ありによって確定申告は必須ではなくなります。複数の証券会社で口座を持っていて証券口座をまたいで損益通算したければ確定申告が必須ですけどね。しかし、海外株/海外ETFをいじっている場合はこの限りではありません。円貨決済/配当金も即円転換しているなら義務ではないですが、ドル決済・余力をドル持ちしている場合は為替差益の申告が必須です。ちなみに特定口座・源泉徴収ありでも、外国税額控除をすると配当税が多少戻ってきますのでやらない手はありません。

以前調べた時、THEOはまさに「ドル決済・余力をドル持ち」のパターンでしたので、確定申告は必須でした。しかし今回、公式で「確定申告が不要」とうたっています。まさかお金のデザイン社が為替差益の税処理を知らないわけはありませんから、これはいつの間にか「余力が円持ちで円貨決済」にサイレント仕様変更をしたと見るのが合理的です。ということで今日明日で念のためチェックしたいと思います。

以下が私の今日時点のポートフォリオ画面です。

余力は1,293円=11.68ドル(USD/JPY 110.69円 8月7日)です。これが明日どうなっているのかで余力の持ち方がわかります。いつの間にか仕様が変わったのか?それともTHEOは脱税を推奨しているのか?要チェックです。

そんなわけで今日のまとめ

ということでまとめです。

・THEOがリニューアルを発表したけど迷走している。
・FAQの記述によると仕様を変えたか脱税推奨か。どっちにしろアレ。

しかし、、、、こういうことをシレっとやってくる時点で本当にTHEOは印象悪いです。やっぱり出自のとおり「野村證券イズム」なんでしょうかね^^;。

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