投資と投機を見極める~株式投資の基本(5)

おはこんばんにちは。きゅうべいです。

今日の「株式投資の基本」は『「投資」と「投機」の違い』と題してお届けしたいと思います。

世の中には多くの金融商品が溢れています。株式、投資信託、外貨預金、FX、不動産などなど。自分の資産を配分してポートフォリオを組む際にどんな商品を混ぜてみようかと皆さん多いに悩みます。私も実際に迷いましたし、いまでも新しいものがでてくると悩みます。そんなとき、「投資」と「投機」の違いを頭に入れておくと、とてもよい判断基準になります。ちょっと小難しくなってしまいますが、今日はこれをテーマに掘り下げてみましょう。

投資と投機を定義しよう!

「投資」と「投機」の定義は人によって様々です。ですからこれから私の書くことが必ずしも正解ではないかも知れません。考え方の一つとして、頭の片隅にいれておいていただくと良いと思います。ちなみに英語では投資を「Investment」、投機を「Speculation」と言います。日本語では一文字違いですが英語にすると随分ちがいます(笑)。

「投機」は一般的には「すごい値上がり」を期待してリスクを最大限までとって資金を注ぎ込むことで、「投資」は対象が堅実に成長することを見越して資金を注ぎ込むことです。これだけだと「一緒じゃねぇか!」という話なので(笑)、私なりの解釈を入れてみます。以下は直接私の投資理念に繋がります。

値動きが荒れている相場のときには、経済ニュースではよく「投機的な動き」とか「投機筋が~」みたいな表現が使われます。一般的に「投機」は限りなく「ギャンブル」に近い意味で使われます。

例えば、宝くじや競馬やパチンコは「投資」でしょうか? 一般的にこれらは「ギャンブル」「投機」と言われます。「宝くじ」や「競馬」や「パチンコ」はお金の流れだけをシンプルに見ると同じ仕組みをしています。つまり、大勢の人がお金を持ち寄り、主催者がそこから手数料を抜き、残った資金をあるルールに則って「再配分」します。競馬であれば1位になった馬を当てること。宝くじであれば抽選で選ばれること、パチンコであれば大当たりを出すこと。個人単位でみると儲かる人もでてきますが、みんなが投入したお金に対して戻ってくるお金の総量は確実に少なくなります。私はこの「投入した資金に対して戻ってくるお金が確実に少なくなる」仕組みこそが「ギャンブル」であり「投機」の定義だと思っています。

一方、「株式投資」や「将来への投資で英語を勉強する!」みたいなパターンはどうでしょうか? 「株式」は「会社の一口オーナー券」ですから、これを買うことはその会社が成長し大きくなってもっと利益を生むようにする応援の意味があります。会社は例えば1,000万円のお金を使って事業を運転して、1,500万円に増やすことができます。つまり、「投入した資金に対して戻ってくるお金が多くなる」ことが期待できます。英語の勉強も同様です。英語のレッスン代を払って勉強すれば、自分に英語力が身につき、将来英語を使う職業についたり海外旅行を楽しめたりといった利益が戻ってくる可能性があります。そこに価値が生まれています。

このように、「投入した資金に対して戻ってくるお金」が増えることが期待できる仕組みが「投資」、増えることが期待できないのが「投機」だと私は考えています。

この定義で、いろいろな金融商品を見てみましょう。

現物株式、投資信託

現物株式や投資信託は、特定の会社や特定のマーケットの「経済活動」におけるスポンサーになる仕組みです。「経済活動」は従業員の労働力を使って利益を上げる仕組みですから、大いに成長が期待できます。会社員の皆さんも「会社なんか潰れてしまえ!」と思って働いている人は少ないと思います(笑)。働いて、利益を上げて、お給料を貰う。それが経済活動であり社会活動です。自営業の方なら顕著です。働いて利益を上げないと食べられませんから。ですから、この経済活動にお金を入れる「株式」「投資信託」は間違いなく投資です。

一方で、ごく例外的な投機もあります。それが「バブル」や「仕手株」であり、いわゆる「倒産株」売買です。バブル状態では、その会社が大きくなるよりも「もっと人気が上がって、結果として株価が上がって、それを他人が高値で買ってくれる」ことを優先してしまいます。これは完全に投機です。あなたがその会社が大きく成長して株主に還元してくれることを期待しているならばよいですが、もし「次のカモがどうせ引き取ってくれる」と高をくくって高値を承知で買うならば、それは投資とは呼べません。同じく、「倒産株いじり」というのもあります。会社が事実上破綻すると、株式は上場廃止になるまで「一桁円」まで推移します。例えば今日1円の株が明日2円になると、単純に投資金は2倍になるわけです。価格が下がれば下がるほど、1円・2円の値段差が何十パーセントもの値動きになり、大きな「ボラティリティ」を生みます。これを使って儲けようとする方がいらっしゃいます。これも完全に投機です。こういったやり方は、我々一般投資家にはリスクが高すぎます。近づかないように気をつけましょう。

FXと外貨預金

「FX」と「外貨預金」は、ともに円を別の通貨に買えて「為替差益」を狙うものです。やっていることがほとんど一緒なので混同しがちですが、この2つは本質的にまったく別物です。なお、信用取引(借金)を使ったレバレッジ取引を一旦脇において考えてみましょう。レバレッジを掛けたFXは疑いようがなく「クイズ・アップ&ダウン!」ですから(笑)。

「FX」はあくまでも為替差益のみに重点を置きます。そして低金利の通貨(日本円)から高金利の通貨(レアルやランドなど)を買い立てた場合、「スワップポイント」という利子的なものが貰えます。しかしこれは「外貨預金」ではありません。

FXは相対(あいたい)取引であり、買い手と売り手が両方共プレイヤーです。買い手Aと売り手Bがお互い特定のレートで異なる通貨を交換し、その人気による需給バランスでレートが刻一刻と変化します。最終的なイグジットは、外貨をもう一度日本円に戻すことです。こうして買った時のレートと売った時のレートの差で儲かったり損したりします。しかし、究極的には買い手Aと売り手Bはただお金を交換しただけです。最初に交換したときと後で交換した時での交換レートが違うだけで、総量が増えたわけではありません。ですから、どちらかが得をすればどちらかは損します。この仕組みに生産的なことはありません。

一方の外貨預金は、為替を変換するところについてはFXと同じですが、その後で運用するフェイズが入ります。その意味では、外貨預金は「為替リスク」+「その当事国の国債運用」と分解できます。「為替リスク」については投機的な要素が強く、「その当事国の国債運用」については投資の要素が強くなります。

ただし、外貨預金は個人的にはおすすめしません。それは「その当事国の国債運用」も「為替リスク」も同じ政策金利の影響下にあるからです。つまり、原理的には限りなくイーブンなんです。期待値としては儲かりも損もしないはずです(笑)。同じく「為替リスク」+「運用」であれば、断然株式/海外ETFの方が有望です。

不動産投資

不動産運用は十分に建設的な「投資」です。あなたが不動産を買って大家さん事業を行うならば、その経済活動は借り手にとっても有意義になります。大家さんは一括払いで不動産を取得するリスクを負う見返りに最終的にはイニシャルコストよりも多くのお金を得る権利があり、借り手はリスクを分散するために月払い/年払いで不動産の使用権を買うことができます。2者取引なのにFXと何が違うのかというと、そこに「リスクヘッジ」という付加価値がついていることです。大家さんは地震や火災などのローンリスクを借り手に変わって一手に引き受け、借りてはその見返りに「最終的には買うよりも高いお金」を分割払いしています。そう、よく「大家さんは不労所得に最適!」みたいな言われ方をしますが、結構がっつりリスクをとっているんです。儲かるのはそのリスクプレミアムを受け取っているからにすぎません。災害リスクを浴びると大家さんはローン破綻しますが、借り手にはなにも関係ありません。借りてる家が地震で壊れたら、引越し費用を大家に請求して別の所にいけばいいだけです。

一方、2016年時点で東京ではマンションバブルが発生しており、転売を狙って高層マンションを取得する方が一定数います。先日NHKでも取り上げられていました。取得した不動産を賃貸で運用するならば「投資」ですが、運用に本腰をいれずに値上がりを期待して取得するのは「投機」です。これは「不動産価値が上がる」現象の主な要因が「物価上昇」と「需要の増加」だからです。ともに、不動産そのものの生産的な価値上昇ではありませんから、それを期待して資金投入するのは大変ギャンブル的です。

純金投資

純金投資を「投資」とするか「投機」とするかはかなり難しい問題です。純金投資はかなり特殊な需要でなりたっています。当然、純金は置いておくと増えたりするわけはありません。そういった意味では「投機」に近い商品です。ただ、純金投資は「資金を投入する」のではなく「資金を一時的に逃しておく」ものなんですね。通貨がハイパーインフレを起こすと、お金自体の価値が日に日になくなっていきます。そんなときに「価値が変わらないもの」として純金が利用されます。別に純金じゃなくてもいいのですが、「長いこと価値がかわらずに、それでいてある程度高値でやり取りできる」という条件に純金がぴったりなんですね。例えば100万円のお金を「日本円」以外の現物に逃がす時、鉄鉱石だとだいたい117トン(!)になります。ちょっとポケットや金庫に入れるのは厳しいですね。ところが純金だと212グラムで済みます。これならネックレスでもいけます。ちょっと肩こりそうですが(笑)。

そんなわけで、純金は「投機」用途よりはどちらかというとインフレ対策としての「逃し先」なんですね。よく黒人のスポーツ選手が金のネックレスをしていますが、あれは自国の通貨を信用していない(=ハイパーインフレになる恐れがある)がための生活の知恵なんです。外貨に逃がすよりは純金に逃したほうが値動きが少なくてすみますから。丁度2016年末のいま、野球大国ベネズエラでハイパーインフレが起きています。西武にいたアレックス・カブレラや現横浜監督のラミレスの母国です。彼等のように数億円の年収があった方達は、おそらく自国のボリバル通貨ではなく純金や外貨に分散して逃しているはずです。

まとめ

今日はいろいろな商品を「投資」と「投機」という視点で見てみました。資産運用は当然「投資」がメインになります。個人的には投資商品は「株式(国内/国外)」と「投資信託」で行うのが一番手軽で良いかなと思っております。外貨預金はある程度の投資額にいくと、為替差益の確定申告が大変になってくるので、証券口座のMMF/MRFで代用したほうがいいです。次回は、ポートフォリオの組み方について、私が実際に行っている方法踏まえて書いていきたいと思います。

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