VTが多様性が無いってマジなのですか!?

おはこんばんにちは、きゅうべいです。
雑記帳としてリニューアルした矢先に株式相場がドラスティックに動いて結局投資の話ばっかりしています(笑)。

今日はですね、とある投資系有名Youtuber(※高橋ダン氏)がVTは結局S&P500と連動してるんだから全然多様化されてない!」とおっしゃってたという話を小耳に挟みまして、その話題からちょいと発展させたいと思います。
結論から言ってしまえば、「多様化されてない(※分散されてないの意味でしょうか?)」は100%ウソです。しかしVTが決して万能ではないという部分は大賛成です。

そもそもVTってさぁという話

あまりこの界隈に明るくない方向けに先に前提を簡単に説明しちゃいます。
「VT」というのは米NY市場に上場されているバンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」という銘柄を指します。これは世界のマーケット全体を一つのバスケットとして再現しようという商品で「これさえ買っておけば世界マーケットのミニチュアが手に入る」という趣旨のETFです。
日本では大人気商品で、VTを買うだけのファンドオブファンズである「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」という投資信託も出ています。

これは「アメリカ株を何%買って、日本株を何%買って、中国株を(以下略)」というように細かいことを気にせず、「とりあえずポーンとこれさえ買っとけば大体大丈夫じゃないの」というお手軽さと無難さがウケた商品です。実際アメリカではあんまり言うほど人気がないのですが、日本では大人気で何かって言うとすぐ「VTでいいんじゃね」とオススメされます。おそらく日本でウケた一番の要因は「ど素人かつ知識ゼロの初心者でも1種類積み立てればいいだけなのでオススメしやすいし実践しやすい」ということだと思います。ただ日本人の悪い癖で「VTを買っておけば無難」というだけの話が書籍やブログの伝言ゲームを通して「VTで十分」→「VTこそ至高」に変換されていき、なんかわかりませんが「最高の投資ツール」みたいな御神体として崇められています。

VTはこれ以上無いくらい分散されている

さて、まずはVTの名誉のために言いがかりを振り払いましょう。

VTはおそらく現存するETFの中でもっとも広く分散されています。公式のホワイトペーパーに載っているように、世界中の個別株8,816種に分散されており、国別ポートフォリオをみるだけでも構成国は41カ国もあります。アメリカ、日本、中国、イギリス、スイス、カナダ~と名だたる先進国が順番に出てきて、最後はカタールやクウェートのような新興国まで網羅されています。私も結構な投資マニアだと自負しておりますが、カタールの個別株を自分自身で買うやり方はわかりません(笑)。

https://www.vanguardjapan.co.jp/retail/investment-products/funds/detailview/etf/3141/equity/portfolio/us

ここまで分散されている優良ETFに対して「多様化が足りない」というのは言いがかり以外の何者でもありません。多様化は十分できてます。

ただ、高橋ダン氏が動画の中で指摘した肝は「結局S&Pと連動してるじゃないか」という所です。これに関してはまったくもってそのとおりです。しかしこれは「そういう思想の商品だから」って話であって、そこに文句を言うのはお門違いです。それではVTの特徴をハッキリさせた上で話しをもう1段上のステージに発展させてみましょう。

日経平均とトピックスの違いという話から、最後は小型株・大型株の投資スタンスまで一気に膨らましていきます。

2通りの指数の作り方~「株価平均」と「時価総額加重平均」

株価を表すインデックス=指数には「株価平均」と「時価総額加重平均」という2種類があります。(※細かい話をすると浮動株調整をするかどうかでさらにあと2つに分かれるんですがややこしくなるので今日はその話は無しです。)

「株価平均」とは

株価平均というのはザックリいうと「単純に株価を足していって平均を出しただけの指数」です。日本でいうと「日経平均株価」、アメリカでは「ダウ工業株30種平均」がこれに当たります。昔はこれが主流だったので、歴史のある有名な指数はこちらのパターンが多いです。この方式の弱点は明確で、単純に株価が高い銘柄のほうが指数に与える影響が大きくなることです。よく「日経平均株価」のことを「ユニクロ指数」と揶揄しますが、実際に1単元が900万円近くするユニクロは日経平均への寄与率が10%を超えています(笑)。つまり、ユニクロが10%上がれば他社株が一切動かなくても日経平均が1%あがる計算です。じゃあユニクロは日本の経済の1割を担っているのかというと当然そんな事はありません。時価総額で言えばユニクロは約9兆円で、トヨタ自動車の1/3以下の第7位でしかありません(※2020年12月8日現在)。そもそも「株価の大小」というのはそれ単独で何かを表したものではありません。株式分割すれば株価の絶対値はさがりますし、株式併合をすれば絶対値は何倍にでもなります。つまり、そんな数字を足して平均を出す時点でナンセンスなわけです。昔(100年前)はコンピュータがなかったので、市場が閉まった後に簡単にすぐ計算できることの方が大事だったっていうだけです。

日経平均=株価平均は経済全体の状況を見るには明らかに欠陥指標だということです。

これを改善するために生まれたのが「時価総額加重平均」という計算方式です。

「時価総額加重平均」とは

新しくできた「時価総額(加重)平均」というやり方は、まず市場全体の時価総額を出して、そのなかでその銘柄がシェア何%なのかを出し、その割合で指数を計算していきます。日本ではTOPIX、アメリカではS&P500がこちらにあたります。前述のVTがトレースしている「FTSE Global All Cap Index」もこちらです。

例えば「時価総額10億円」のA社と「時価総額1億円」のB社の2社だけのマーケットがあったとすれば、このインデックスは「A社の値動きをB社の値動きの10倍反映する」わけです。A社が1%上がってB社が1%下がったら、インデックスは0.9%あがります。逆にA社が1%下がれば、B社が5%上がってもインデックスは-0.5%となります。
こちらのほうが実際の経済規模を上手く反映できているので、経済全体の指標としては遥かに優秀です。本当は「日経平均が30年ぶりに高値をつけました」っていうのはどうでも良くて(笑)、「TOPIXが1780を超えました!」の方が実は経済には重要だっていうことです。

VTは時価総額加重平均であるが故にアメリカのシェアが高い

ここまで踏まえた上で、VTの国別構成比を見てみましょう。

マーケット VTの構成比
米国 57.50%
日本 7.40%
中国 5.30%
英国 3.70%
スイス 2.50%
カナダ 2.50%
フランス 2.40%
ドイツ 2.30%
オーストラリア 2.00%
台湾 1.80%
韓国 1.60%
インド 1.20%
オランダ 1.10%
スウェーデン 1.00%
香港 0.90%
デンマーク 0.60%
イタリア 0.60%
スペイン 0.60%
ブラジル 0.60%
フィンランド 0.40%
南アフリカ 0.40%
ベルギー 0.30%
シンガポール 0.30%
サウジアラビア 0.30%
タイ 0.30%
ロシア 0.30%
マレーシア 0.30%
ノルウェー 0.20%
メキシコ 0.20%
インドネシア 0.20%
アイルランド 0.10%
ポーランド 0.10%
オーストリア 0.10%
ニュージーランド 0.10%
フィリピン 0.10%
アラブ首長国連邦 0.10%
チリ 0.10%
トルコ 0.10%
イスラエル 0.10%
カタール 0.10%
クウェート 0.10%
その他 0.10%

見て分かるようにアメリカのシェアが50%を超えています、しかも上位の先進国である日本やイギリス、フランス、ドイツあたりは、そもそも市場のプレイヤー(=機関投資家)自体が一緒ですから、ほぼ連動して動きます。これによって、VTとS&P500(=アメリカ市場)が非常に高い相関係数でほぼ連動して動くということになるわけです。

アメリカのシェアが馬鹿みたいに高い一番の理由は、世界中の上場企業の時価総額上位がまさにアメリカに偏っているからです。指数は時価総額加重平均しているだけですから、つまり指数が偏っているというより実際に富が偏ってるんです(笑)。国別GDPで言えばアメリカは世界シェア24%ですけれども企業単位でみれば57%がアメリカ籍です。これを見れば、単純にアメリカ企業がいかに海外で利益をあげているかがわかります。

さて、では最初に戻りましょう。VTが広く分散されているのは明らかです。一方でVTがアメリカ市場と連動してるのもそのとおりです。そして実際に富がアメリカに集中しているのもそのとおりです。ではなぜそのVTが投資の大正解ではないのでしょうか?

時価総額加重平均は言い換えれば大型株が重視される

時価総額で加重して平均をとるということは、「時価総額が大きい会社を重視する」と言い換えることが可能です。「実際にでかい会社をでかく計算して何が悪いんだ!」と言うと、まったく悪くありません。

しかし、投資のパフォーマンスという観点に立つと、実は大型株よりも小型株の方がパフォーマンスが高いというデータがあります。

例えば1999年~2013年を比べると、米国の小型株指数ラッセル2000は、S&P500の2.2倍も伸びています。同じく1979年~82年は約7割のアウトパフォームです。両期間とも比較的景気が後退局面だったことが挙げられます。景気が悪い時、小型株は大型株よりも悪い扱いを受け、安値で放置され捨て置かれます。これが景気が良くなった途端に大爆発するのでテンバガーが生まれるわけです。

一方で、2013年~2020年の景気復活局面をくらべると、今度は大型株の方が小型株より伸びるようになります。S&P500がラッセル2000を約3割アウトパフォームします。これは景気回復局面ではインデックスファンドが物色されること、そして大型株が図体のデカさをいかして設備投資や商圏拡大を一気に行って利益を伸ばすためだと思われます。

このように、実は大型株と小型株には景気局面に得手不得手があります。ただし、一般的に小型株のアウトパフォームの方が大型株のアウトパフォームより伸び率が大きくなる傾向があります。感覚的にも、例えば小さいベンチャー企業が10年で一気に利益を10倍にするのは想像できますが、NTTやJRが利益を10倍にするのはあまり想像できないと思います(笑)。そんなわけで、投資においては必ずしも時価総額どおりに買うのが正解というわけでは有りません。むしろ過去データとしてはほどほどに小型株も持っているほうが期待値が高くなります。

小型株は期待パフォーマンスが高いですが、一方で倒産や資金繰りの悪化による増資など、危惧すべきリスクもいっぱいあります。ファンダメンタル投資が大好きな方は小型株でテンバガーを狙うのも面白いですが、あまり馴れていない方はナスダック指数やマザーズ指数のようなインデックスでカバーするほうがお手軽です。

時価総額比からほどほどに離れる一つの解答

人によっては「ダウの犬」戦略のように、売られ過ぎの株や下がった株ばっかりを拾い集めるというやり方もあります。ただこれはバクチ性が高く、個人的にはあまり好きではありません。いや、JTとか日産とかたまにはやるんですけどね^^;

15年ぐらい投資をしてきて個人的に一番しっくり来たのは「なんとなくどの銘柄も同じぐらい買う」という雑なやり方です。例えば1銘柄あたり50万円ぐらいと設定して、単元10万円の株なら500株買う、20万円の株なら200株か300株買う、60万円の株なら100株だけ買うというようなやり方です。これをすると、時価総額を無視するというか、かなりグチャグチャな買い方になります。ただし多くの銘柄に分散すれば結局ベータは時価総額加重平均に近づいていきますので、よりパフォーマンスが期待できる小型株のアルファを取り込みやすくなります。

おそらくですが、高橋ダン氏が言いたい「多様性」というのはこういうことかなと思います。
主にアービトラージやロング&ショートをするヘッジファンドの出身者に多いんですが、彼らはリスク(日々の大きな値動き)を極端に嫌います。給料に響きますし、何より投資がわかってない金持ちの出資者が電話や下手すりゃ直接殴り込んできますからね(笑)。だからリターンを得るよりもとにかく相関係数が異なる=違う動きをする銘柄を組み合わせまくってリスクを下げようとします。仮にリターンがマーケットより悪くてもリスクが減ればシャープレシオが上がって運用成績が良く見えますからね。
こういう人にとっての多様性や分散は「とにかく相関係数の低いものをポートフォリオにどれだけぶっこめるか」を指します。

大型株=先進国、小型株=新興国でも同様

いままで書いてきた小型株や大型株というのは何も個別株に限った話ではなくて、例えばインド市場とアメリカ市場みたいに国に置き換えても通用します。

VTだけを買った場合、ポートフォリオは時価総額加重平均になります。つまりアメリカや日本や中国やイギリスなど、大型先進国を重視したポートフォリオです。
ただ、超長期でみた場合もう少し小型新興国を持っておいたほうがパフォーマンスが高くなる可能性があり、それであれば「先進国クラス」「新興国クラス」のようにカテゴライズした上で、例えば「先進国:新興国を3:1でもつ」「新興国は1国あたり50~100万円」みたいに目安だけを決めて、それぞれの市場のインデックスETFを適当に買い集めてもよいのではないかということです。

個人的なことで言えば、私は先進国は「1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本) ETF」と「VTI」、新興国は「1658 iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF」と「1678 NEXT FUNDS インド株式指数 Nifty 50連動型」と「VWO」をメインにして、それぞれ適当に買い集めています。なんでインドだけ単独なんだと聞かれますと、なんとなくのフィーリングです(笑)。いや、東証のETFで出来高がそこそこある新興国ETFって、ロシアとブラジルとインドしか無いんですよ。ロシアは新興国というよりは2軍落ちしてきた感じですし(失礼)、ブラジルも急成長するって言われてもあんまピンと来ないんですよね。インドは人数の暴力があるのでそのうち先進国になるだろうなって空気は感じます。VWOを買えばロシアもブラジルも入ってますから、追加でちょっと余分にどこを買うかっていう程度の話ではあります。

まとめ

そんなわけで、実際に時価総額加重平均ってのは投資の絶対的な正解ではないんだよっていう話でした。気付いたらスタート地点から随分遠いところまできました(笑)。

補足をいたしますと、例えばVT1本だけ買っておいても別に未来永劫アメリカ市場に連動するわけではありません。50年後にアメリカが世界トップから落ちて中国やインドがトップになったら、その時はその時の時価総額で買われるっていうだけの話です。ただ、そうすると当然インドの急成長は美味しくいただけないわけです。別にインドに限らず、いきなりノーマークのところから凄い新興国の台頭があるかも知れません。

そんな期待と夢を込めて小型株を買う感覚で新興国をちょっと余分に一つまみ買ってみる。そんな余裕が投資の醍醐味かなと思います。

新興国投資については、マーク・モビアス博士の名著「国際投資へのパスポート―モビアスの84のルール(日本経済新聞出版)」が面白いです。ブックオフで100円コーナーによくありますのでご興味がある方は是非手にとってみてください。
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