続・自己流ポートフォリオの組み方(ベータ編)

おはこんばんにちは。きゅうべいです。

4年前のちょうどいまごろに「自己流資産ポートフォリオの組み方」というのを書きました。当時の記事で出している銘柄はだいぶ古くなってしまいましたが基本的な考え方はもちろん何も変わりません。

そんななかで、ちょうど今相場がヨコヨコで動きが乏しいので、今日は一歩踏みこんだより実践的・実用的な話をまとめて見ようかと思います。
以下に私が書く事は理論上は正しいはずですが多分に自己流の解釈も入っています。自分でポートフォリオを組むときのアイデアの種として頭の片隅にいれていただけると幸いです。

前提:資産の波をベータとアルファに分けて考える

まずポートフォリオを組む前に大前提として「ベータとアルファ」という考え方を頭に入れておく必要があります。
これは「シャープ・レシオ」で有名なウイリアム・シャープが提唱した概念で、ハリー・マーコウィッツの「現代ポートフォリオ理論」を学術的に論証したものとして今なお燦然と輝くファイナンス理論のド基本です。

簡単に言うと、株式でもREITでもゴールドでもなんでもいいんですが、ある個別の銘柄や商品の価格の波というのは全て「市場全体に共通する波(ベータ)」と「その商品固有の事情による波(アルファ)」に分けて考えることができるという考え方です。

例えば今回のコロナショックで市場は全体で3~4割下げる大クラッシュに見舞われました。もちろん観光関連や外食関連は実態として相当厳しい状況に置かれていますが、一方で例えば通信会社ですとか不動産関係なんかは直接的にそこまでクリティカルなダメージは負わないはずですよね。もちろん雇用が不安定になってみんなの収入が減るから贅沢品が売れなくなる、、、みたいに回り回ってダメージはありますけれども、少なくともホテルや居酒屋と比べればマシなはずです。ですがコロナショックではそんなことお構い無しで全部のマーケットが一斉にクラッシュしました。大丈夫だったのは退避先だった貴金属(ゴールド、プラチナ)くらいでしょう。
こういったマーケットの全体を覆う影響がベータです。

その一方で、巣篭もり需要で任天堂の業績が大幅にアップしたり、アメリカ市場でリモート会議のzoom株が何倍にも跳ね上がったり、こういった銘柄固有の事情の上がり下がりがアルファです。

こんな定義を知ってなんの役に立つんだとおもったそこのあなた!
実はポートフォリオを組むのに一番大切なのがこの「ベータとアルファ」の概念なんです。

アセットアロケーションとはベータを組み合わせること

ベータというのはそのカテゴリ全体に共通の動きのことなので、そのエクスポージャー(※カテゴリが覆う範囲)の大きさによって何段階にも分けられます。
一番広いところでは「株式市場」「債券市場」みたいな100年単位のチャートで見るような壮大なもの。それを国の規模で分けて「先進国株」「新興国株」みたいに分類したもの。国の規模ではなく地域で分ければ「ヨーロッパ株」「中東株」「アセアン株」「NAFTA株」みたいな分け方もあります。さらにそこから国ごとに分けると「S&P500(アメリカ株)」「TOPIX(日本株)」「FTSE100(イギリス株)」のように証券市場ごとのインデックスというのがあります。もう一歩踏み込むと各市場ごとの業種別インデックス(自動車株とか食品株とか)もあります。

ポートフォリオを組む上で「先進国株に何割投資するか」「日本株に何割投資するか」「不動産に何割投資するか」というザックリした指標のことを「アセットアロケーション(※直訳すると”資産の置き場所”)」と言います。投資をする上でまず初めにアセットアロケーションを決めないといけないというのは、つまり「ベータをどう組み合わせるか」を最初に決めようということなんですね。「いきなりそんなこと言われてもわかんないっしょ」と思われるかも知れませんが、じつはこれ、ハリー・マーコウィッツのモダンポートフォリオ理論にほぼ答えがあります。

詳しくは私が度々推薦しておりますピーター・バーンスタイン著「証券投資の思想革命: ウォール街を変えたノーベル賞経済学者たち」を読んでみて下さい。(※余談ですが先日ブックオフの100円コーナーに置いてありビビりました。歴史的名著なのに売れ残るのね、、、)
「リスクとリターンをグラフ化した場合、同一リスクでもっともリターンが高い点をプロットすると効率的フロンティアという半楕円形のグラフが書ける」「無リスク資産のリターンを起点とした直線でちょうど効率的フロンティアと一点で接する線(=資本市場線)を引くとその交点がもっともシャープレシオが高い」という話なんですが、これを現代日本で計算するとおおよそ「先進国株60~70%:日本株40%~30%」になります。
自分で計算できるに越したことはないですが、カンニングで答えだけ知っておくのもそれはそれでアリです(笑)

私が先日「きゅうべい、アセットアロケーションを見直す」に書いたアロケーションは新興国株や不動産やゴールドも追加して5カテゴリで計算しています。真似していただいてももちろん大丈夫ですけれど個人で投資する分にはそこまで大真面目にやっても誤差みたいなものなので、「だいたい7:3か6:4ぐらい」と覚えておけば良いと思います。

ちなみに、前回もちょっと触れた高橋ダンさんのYoutubeを見てたら「株式・社債・不動産を4~6割」「外国債・現金を1~3割」「コモディティを2~4割」とオススメしていました。ファンの方には申し訳ないですが相関関係の乏しい株式と社債と不動産を強引にまとめてる時点で根拠となる計算が無いと思われます。株6割と社債6割じゃ全然ちがいますからね。「リスク資産(株・社債・不動産・コモディティ)は7割ぐらいにして低リスク資産(国債とか現金)を3割くらいもっとくといいよ」だったら分かるので、そう脳内変換しておきましょう。

ポートフォリオでは「ベータにちょっとだけ勝つ」ことを目指す

さて、アセットアロケーションを決めたら次はポートフォリオを組みましょう。

ステップ1: ベータにそのまま投資する

もっともシンプルなのはアセットアロケーションで決めたベータにそのまま投資することです。
例えば日本株であれば「TOPIX」、外国株であれば「MSCIコクサイ(除く日本)」がそれぞれ代表的なインデックスですから、それぞれをベンチマークとしたETFや投資信託を買えばそれで済んでしまいます。

TOPIXのETFなら「1475 iシェアーズ・コア TOPIX ETF」、投資信託なら「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」。同じく外国株のETFなら「1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本) ETF」、投資信託なら「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」。端的に言ってこれを決められた割合だけ買えばアセットアロケーションは簡単に実現できます。いわゆる「ほったらかし投資」とか「インデックスブロガー」みたいな界隈はこれを実行する人たちです。

ただそれでは面白くないですし、最適化とは到底言えません。今日はその次のステップの話です。

ステップ2: ベータを個別で再現する方法を知る

ベータに勝つためには、まずは「ベータの概念」そのものを頭の中でブレイクダウンしないといけません。
ここからは頭の体操になっていきますので、よくわからなかったら是非何度か読み返してみて下さい。

ベータは「カテゴリ全体に共通する動き」と先ほど書きました。これを発展させると「カテゴリ全体」が指すサンプル数が多くなれば多くなるほど「その個別銘柄の中でベータが占める割合」が少なくなると言えます。

あまり良い例えではないですが銘柄を人間に置き換えて見ましょう(※差別的な意図は一切ございませんのであしからず)。例えば「日本人に共通するのは?」と言われたら「肌が黄色い」「髪の毛が黒い」とか「日本語を喋る」とかそういうざっくりしたものになりますが、これをサンプルを絞って「日本人の中学生に共通するのは?」と言われたら上記に追加して「身長が大体何cmくらい」とかどんどん具体的な共通項が出てくると思います。この時「日本人に共通するのは?」と「日本人の中学生に共通するのは?」のどちらがより対象者を具体的に表しているかと言えば、当然後者です。

これと同じように、日産自動車の株価であれば「日本株のベータ」が占める割合よりも「日本株の自動車産業のベータ」が占める割合の方が大きくなります。

前回「個別株分散投資の効果を見てみよう!」という記事の実験でお見せしたのは、個別株でポートフォリオを組んでTOPIXベータに収束させるという流れでした。記事では「適当に選んだ」と書きましたが、実はTOPIXベータに近づくように1点だけ小細工というかインチキをしています(笑)。それは「なるべく関係ないジャンルの株を選ぶ」ということです。たとえば「個別株3つを選んでTOPIXに近づけよう!」と言った時に「トヨタ自動車と日産自動車と本田技研工業」を選んでしまったら、それは「日本株のベータ」というより「自動車産業のベータ」になってしまいます。前述のように「日本株のベータ」よりも「自動車産業のベータ」の方が占有力=影響力が強いですからね。TOPIXは東証全体のインデックスですから、これに近づけるためにはなるべく「全体のミニチュア」になるようにバラけて選ばないといけません。だから「トヨタ自動車とNTTとイオン」を選んだほうが「トヨタ自動車と日産自動車と本田技研工業」を選ぶよりTOPIXに近くなります。

上ではわかりやすいように「自動車産業」という業種にしましたが、意外と盲点になるのはその会社が「為替の影響をうけるかどうか」「外国を相手に商売をしているかどうか」です。例えば業種をバラせばいいんだと思って「トヨタ自動車とファナックと武田薬品」の三社を選ぶと、実はこれ海外売上高比率がめちゃくちゃ高い輸出株ベータになってしまうため、FXとほとんど同じ値動きになります(笑)。

ですから、個別株を集めるときには、その株の「業種カテゴリ」「海外向け/国内向け」「日本人向けか来日外国人向けか」をエクセルかなにかでメモるようにして、偏らないように気をつけます。

ポイントは「ベータを再現するためにはなるべくベータを構成する要素のミニチュアになるように分散する」ということです。
ポートフォリオの基本形はこの「ベータを再現する」ことになります。ですからこの「ミニチュアになるように分散する」という意識を常に持たないといけません。これがファーストステップです。

ここまでなんとなく飲み込んでいただいたら、次のステップに行きます。

ステップ3: ベータに勝つために

いままでの話を総合しますと、勘のいい方はベータに勝つために2つのアプローチがあると気付いていただけると思います。
(1) なるべくベータを再現しつつプラスのアルファを獲得する。(2) ベータそのものを意図的にズらして特定の子ベータに偏らせる。

私がオススメするやり方は(1)の方なので、先に(2)をザックリ解説します。

例えば「今後5年間中国経済がめちゃくちゃ発展する!」と思った場合、ポートフォリオの中で中国を相手に商売している会社の割合を意図的に少し増やします。いまだと機械受注とか半導体関係でしょうか。そうすると「だいたいTOPIXなんだけど、ほんのり中国寄り」というポートフォリオになります。これが(2)のやり方です。ポイントは「ほんのり」という部分です。大きく偏らせてしまうとせっかく決めたアセット・アロケーションからまったく外れたものになってしまいますので、そういうのは資産管理とは別の口座で少額の「短期トレード用資金」として遊びでやるべきです(笑)。
ただベータを偏らせるアプローチの場合、往々にしてリスク(資産の上下運動)が大きくなりますし、なにせ大局の読みが外れると悲惨なことになりますのであんまりオススメしません。東京オリンピックを想定してホテルやレジャー関連の外国人観光客狙い業種に偏らせていた人がコロナショックで食らった打撃を考えると、その怖さがご理解いただけると思います。

それでは(1)をどうやればいいのかというと、これ実は凄くシンプルです。要は株を集める際にちゃんとカテゴリやジャンルを分散させた上で「そのカテゴリの中でも一番だと思うものをきちんと調べて選んでいく」というだけの話です(笑)。

例えば10社の個別株を買って、これの合計アルファが平均を超えていればいいだけなんです。1個はずれがあったとしても2個あたりがあればそれで十分ですし、2個はずれがあっても1個大当たりがあればそれでも大丈夫です。残りはあたりでも外れでもないそれなりでいいんです。これを実現するために大切なのは「利益が乗ったものは長く保持する」「アテがはずれたものはある程度のところで見切りをつける」という株式投資のド基本です。損切りをちゃんとしましょうってのと、利食いはテッペンからちょい垂れるまで待てってことですね。例えばイオンみたいな内需の大企業で含み益が出たなら、それはもう永久ホールドのつもりでほったらかしとけば良いんです。
また、あるあるネタとしては、銘柄選定をしているとついつい「あれも欲しい」「これも欲しい」ってなってどんどん銘柄が増えていって気付いたらカテゴリやジャンルが偏りまくってたということがあります。優待株を見すぎて外食産業だらけになっちゃったりとかですね(笑)。そういう時にはグっとこらえて、「外食産業は日本株全体の10%まで」と理性的に我慢することが大切です。これがあるから「投資はルール作りが一番大事」って言われるんですね。「アセットアロケーションを決める」っていうのも一種のルールづくりです。「これ以上日本株は買ってはいけません」っていうストッパーになりますからね。

私の場合は「なるべく長期保持できてかつちゃんと利益がのっかる会社」を見つけるときは、「ROEが5以上(できれば10)」「毎年売上高と営業利益がちょっとでいいから増えてる」「キャッシュフロー(営業CF-投資CF)がそれなり(すごいマイナスではない)」「有利子負債から利益剰余金を引いて営業利益で割った時に20以下(=借金が20年以内で返済できる)」というあたりでスクリーニングを掛けて、「名前を知ってる会社かどうか」「何をやってる会社か100文字ぐらいでサラっと言えるかどうか」を基準に選んでます。直近は無印良品の「良品計画」を買いました。無印良品は「日用品」で「国内向けとアジア向けが半々」というカテゴリでかつコロナで大きな打撃を受けている「小売業」なのでコロナ騒動が収まれば十分復活すると読みました。収まるまで耐えられれば、、、、ですけど。

まとめ

ポートフォリオを組むっていうと凄く難しいように思えます。実際私も株式投資をはじめた直後はあんまよくわからず、今思うと銘柄が複数あるだけで実は全然分散できていませんでした。恥ずかしながらコナミとカプコンを両方買ったりしてましたからね(笑)。
でも、「市場のミニチュアに寄せるように要素を分散させればいいんだ」という基本概念さえわかれば、随分とやり方も成績も変わってくるはずです。

こうやって組んだポートフォリオと日経先物ミニの売りを組み合わせてヘッジポジションを組むとベータの割合を意図的に下げられるみたいなやり方もあるんですが、それは応用編なのでまた別の機会に。

最後になりますが投資はくれぐれも自己責任でお願いします。長文にお付き合いいただきありがとうございます。
それでは、また。良い投資ライフをお送りください。

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