THEOは特定口座でも確定申告が必須です!~ロボットアドバイザーと税金

おはこんばんにちは。きゅうべいです。

先ほどの記事で取り上げたとおり、ウェルスナビが余力を円貨建てで持っていることが判明いたしました!

これにより、重要かつ緊急で皆さんにお伝えしないといけないことができました!ずばり、「ロボ・アドバイザーと税金」です。

外国株式投資における税金のおさらい

まずはざっくりおさらいしておきましょう。外国株式投資を行った場合には、日本の税制では3種類の税金がかかります。

  • 配当税
  • 譲渡益税
  • 為替差益(雑所得)

このうち配当税については源泉分離課税なので源泉徴収されて手元に来ます。外国税控除を受けることも出来ますが、もし控除を受けないならほったらかしで大丈夫です。

譲渡益税については日本株と一緒です。特定口座(源泉徴収あり)なら源泉徴収されますので、これもほったらかしで大丈夫です。もし特定口座(源泉徴収なし)か一般口座なら、確定申告が必要です。

さて、外国株式特有なのは「為替差益」にかかる税金です。為替差益は雑所得として処理されます。もし、円貨決済で外国株式を売買する場合、売買の価格に為替が含まれていますから、為替差益は発生しません。為替差益相当分は譲渡益に反映されていますから、譲渡益税として取られます。

面倒なのは、円貨→ドルの両替と株式買付を別々に行う場合です。この場合、為替差益が発生します。ドルの「平均取得単価」を割り出して、出金する際の「円取得単価」との差分を計算しないといけません。注意しなければいけないのは、ドルで受け取った配当も「配当を受け取った日のレートで円で取得した扱い」となることです。日本国の考えでは、外国株式の配当も全て円でもらっていると考えます。円でもらった配当を、瞬間的にドル転した扱いなんです。ややこしい&面倒くさいです。

余力が円かドルか、それが問題だ

さて、以上を踏まえますと、海外株式を売買する時に「余力を円持ち」か「余力をドル持ち」かでは以下の違いが出てきます。

■余力円持ち
買値・売値に為替が入っているため為替差益が発生しません。一方、売買価格は「為替の波」と「銘柄価格の波」が完全に複合されますので、投資タイミングを図るのは大変困難です。
■余力ドル持ち
余力をドルで持っている間、つねに為替差益が発生します。そのため、確定申告が必要になり、常に貨幣の「取得価格」を記録しないといけません。一方、売買価格は「為替の波」と「銘柄価格の波」で別々に取引することができます。このため、「円高の時にまとめてドル転しておいて欲しい銘柄が下がった時に買う」という二段構えの取引が可能になります。有利なタイミングで売買を行うことができる可能性が高くなります。

※税制上はドル預金と株式売買をつなぎ=セットで行っている扱いになります。

ちょっとの違いが大違いです。手間を考えなければ余力をドル持ち・ドル建て決済が絶対的に有利です。「アメリカ株安」と「円高」がぴったり重なるピークを探すのは超大変ですが、別個で「アメリカ株安」と「円高」を探すのはそうでもありませんから。ただし、配当を含めて全てに為替差益が発生しますから、全記録をメモしておかないとわけがわからなくなります。

2017年8月27日訂正:
ツイッターにて「ちゃんらー‏ @kanaooo10」さんよりご指摘いただきました。

本項目について、タイトルが「余力が円かドルか、それが問題だ」となっているにも関わらず、「余力の持ち方」と「決済方法」の表現が混同しており、混乱を招く恐れがあったため、表現を修正いたしました。ちゃんらーさんご指摘ありがとうございました。
誤解ないように正しく記述致しますと、「日本の税制上は決済方法によらず、すべてその時のレートの円で決済した扱いになるため、株式の為替差益は譲渡益に含まれる。ただし、余力を外貨建てで保持する場合には、株式売却後すぐに外貨転換した扱いになるため、常に為替差益が発生する」となります。

細かく見ますと、余力をドルで持っていてドル建て決済をする場合、
「余力をドル持ち」→「決済の瞬間に円転」→「円で株式購入」~「円で株式売却」→「決済が終わった瞬間ドル転」→「売却代金はドル入金」というバーチャル取引が行われたことになります。
外貨建てで株式を購入したとしても、あくまでもバーチャル上は「円で株式購入」~「円で株式売却」のプロセスとなるため、株式売買単独のプロセスについては為替差益もすべて譲渡益に含まれます。ただし、その前後の「余力をドル持ち」→「決済の瞬間に円転」と「決済が終わった瞬間ドル転」→「売却代金はドル入金」が外貨預金と同じ扱いになるため、この部分に為替差益が発生します。「ドル決済」と表現した際に、上記プロセスのどこからどこまでを指しているかが分かりづらく、当初誤解を招く表現となっておりました。

なお、外貨決済でも為替差益を発生させない方法については、以下のエントリーに記載しています。
為替差益の税処理を省くために~株式投資の基本(9)

2017年11月20日追記:
同じ方から再度の解説を依頼されましたので簡単な図とともに補足説明を書きました。よろしければこちらも御覧ください。
ロボアドTHEO(16) 国税庁のページにテオは為替差益無しと書いてあるとの指摘について

THEO/ウェルスナビの税金処理

THEOとウェルスナビは、共に「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶことが出来ます。このため、譲渡益税についてはあまり気にする必要はありません。問題になるのは余力の持ち方です。

THEOはドル持ちで、ウェルスナビは円持ちです。

このため、ウェルスナビでは確定申告が不要で全て勝手に処理されますが、THEOでは出金した場合確定申告を行わないといけません。

ウェルスナビの税金

ウェルスナビは余力(現金部分)を円でもっています。ですから、入金した場合は円で追加されますし、配当を受け取った時も配当税を計算したあとで円に変換されます。ドルを直接触ることがなくなり、為替差益が発生しません。(※正確には銘柄売買時の譲渡益に為替がすべて吸収されます)

口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば、ウェルスナビについての確定申告は不要です。気にしなくてオッケーです。

THEOの税金

THEOは余力をドル持ち

一方、THEOは余力がドル持ちです。以下の画像が私の2016年12月の取引残高報告書の一部です。(クリックすると拡大します)

左上に「外貨預り金 米国ドル 53.39ドル」の表記があります。さらに、一番下の「お取引明細」に「16/12/22 振替出金 米国ドルへ(853.64ドル)」とドル転換が行われているのが記録されています。

つまりTHEOでは出金時に為替差益が発生するため、確定申告・住民税の支払いが別途必要になる。ってことです。逆に言えば、一年間一回も出金をしていなければ、申告しなくても大丈夫です。

これをやらないと脱税になります。脱税は犯罪です!必要なのは「入金(投資)時」と「配当金受取時」と「銘柄売却時」の全ての為替レートと価格です。直近何年とかじゃなくて、サービスの利用開始から全てです。10年使えば10年分。50年使えば50年分です。

私のTHEO口座は14銘柄に分散投資していますから、その全ての配当について記録が必要です。年間56回分くらいですかね^^;積立投資をしている場合は、毎回の入金全ての記録もです。これらを使って「平均取得単価」を常時自分で計算しておく必要があります。

為替差益の計算例

例えば、以下のような取引表をユ―ザーは自力で作ることになります。

円貨 為替 ドル
xx日 入金 100,000円 118.18 $846.17
xx日 入金 50,000円 115.14 $433.24
xx日 出金(買付) 115.24 -$400.00
xx日 入金(売却) 114.00 $410.00
取得価計 116.21円 $1289.41
xx日 全額出金 -152,150円 118.00 -$1289.41

これの為替差益を計算してみましょう。

最初の2回でドルの取得は
846.17ドル:118.18円/ドル (10万円)
433.24ドル:115.14円/ドル (5万円)
ですから、合計1279.41ドルの平均取得単価は

150,000÷(1279.41)=117.24円/ドル

となります。

続いて買い付けに400.00ドル使いました。使う分には取得単価は変わりません。

この時点で879.41ドルを117.24円/ドルです。

次はこの銘柄を売ります。ドル取得です。114円/ドルで410ドルを追加すると、平均取得単価は

(879.41×117.24+410×114)/(879.41+410)=116.21円/ドル

ここまでで116.21円/ドルで総額1289.41ドルを取得したことになります。

最後に、これを118.00円/ドルで出金しますから、為替差益は

152150-(1289.41×116.21)=2309円となります。


ということで、この投資は15万円の元手で15万2150円が帰ってきましたが、儲けは2150円ではなく2309円となり、469円の税金が発生します!

素直に「2150円の儲けで437円の税金」と申請した人は脱税です!







ダルい^^;

せっかくロボ・アドバイザーに運用を丸投げしているのに、結局税金の計算のために全部手動でメモらないといけないという、、、これですね、想像以上に面倒くさいんですよ。実際は配当だけで年間50回くらい入金があったりするわけで、しかもリバランスがあったら都度売り買いの計算が必要です。

エクセルでシートを作り込まないと無理ゲーです。

まとめ

ということで、「10万円から始められる!」と手軽なTHEOですが、全然手軽じゃありませんでした^^; 為替差益は雑所得なので、20万円以下かつ他に住宅ローン減税などで確定申告をする用事がない場合は、確定申告をバックれることができます。しかし、どのみち住民税は払わないといけないので計算は必要です。



ふっはっはっはっはっは、、、、(泣)



頑張りましょう!!!!

私もやらないと(泣)

儲けが出てないうちにウェルスナビに全部移しちゃおうかとマジで考えます。

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